昭和27年(1952年)

3月9日
N響演奏会
中央公民館
指揮 クルト・ウェス
[昼]
1 ウィンナワルツ集6曲
2 交響曲第94番ト長調「驚愕」(ハイドン)
[夜]
1 「売られた花嫁」序曲(スメタナ)
2 ヴァイオリン協奏曲ホ短調(メンデルスゾーン)
    独奏 服部豊子
3 交響曲第9番ホ短調(ドボルザーク)
20周年記念演奏会
5月10日
2時・7時
高知市中央公民館 1 バグダッドの太守 序曲(ボアェルデュー)
2 交響曲第8番ロ短調「未完成」(シューベルト)
3 歌劇「カルメン」抜粋(ビゼー)
4 円舞曲 春の微笑(デュプレー)
    指揮 丸山和雄
出演者 55名 うち創立者5名
20年を顧みて   会長 古城九州男
 昭和6年11月、浜田氏や水田氏等、市商(高知市立高知商業高校)ブラスOBその他の方々の来訪を受け、管弦楽団組織の相談を受けた。高知フィルハーモニックオーケストラとして発足し会長となったが、指揮者の浜田氏満州へ、その後の指揮者高木雅老氏も静岡へ去ったりしたので私が指揮することもあった。戦争のため16年以後は応召、徴用等で楽団員も減ったり周囲の状況の変化などで演奏会が開けず、陸軍病院や工場へ慰問演奏をしていた。19年12月の慰問演奏を最後に、20年3月町田昌直博士のご尽力で楽器を疎開したが、弦楽四重奏は続けた。終戦後、文化の欲求が高まり、楽団再興の声に答えて高知交響楽団と改名、22年9月再興、丸山和雄氏を指揮者として迎え、22年11月旧男子師範学校講堂で連合音楽会に出演して以来、現在に至っている。この20年間にオーケストラとはどんなものであるかを県民に示し、いささか貢献したと思っている。創立以来多くの熱心な団員や又外部から応援して下さった方々の支えがあってこそ出来た事と感謝している。

祝賀挨拶よりの抜粋

高知市長 氏原一郎
高知交響楽団は高知市の誇りとするアマチュアーの団体で、発足以来時の変転を乗り越えて20年、本年は時あたかも太平洋戦争講和条約発効の年に当ります。国境を越えた芸術の世界にかよう心と心は世界平和に通ずる心と心でありましょう。当市の音楽界に高響の御活躍を感謝し御成功を祈ります。

町田昌直(医博・当楽団顧問)

この20年間は戦争の前中後と三つの時代変化があったが脈々と生き抜いた楽団に最大の敬意を払う。会長古城氏は医博であり楽団ではフリュートを、洗濯業の川田氏はトランペットを、素封家のお坊ちゃん橋本氏はチェロを、また山県歯科医夫人はヴァイオリンを提げて参加しているのが印象深い。音楽は批評するより寛大に愉快に聴くものと思っているが、今後は中央楽壇の独奏者を招聘して本格的な協奏曲演奏を期待している。

小森宗太郎(NHK交響楽団)

一口に20年と言ってしまえば簡単ですが、私達日響もさきに満25周年を迎えて朝日文化賞をいただきました。その頃250万人口の東京でも自立自営で開いた演奏会に500人の聴衆を集めるのに苦労したものです。中央文化から程遠い高知市で楽団が組織されたことは、思いも及ばぬほど不思議な事で、私達の歩んだ荊の道を思い皆様の御苦労を偲びながら、高響が御盛大になられるよう深い感激と喜びを以ってお祈りいたします。

平井康三郎(作曲家・伊野町出身)

中央に於ても交響楽団の経営は難事中の難事とされ、結局長つづきしないのに、地方に於て長年月戦禍を乗り越えて、音楽的結束により20周年を迎えられたことは、郷土出身の音楽家として慶賀にたえない。指揮台に立って驚き且つ喜んだことは創立者の方々が昔変らぬ情熱を以って楽器を手にしているということであった。音楽文化は中央に偏在すべきではないという私達の考えを、わが土佐で高響が実現されつつある。今後の限りない御発展を祈って祝詞としたい。

通俗名曲演奏会
8月16日(土)
8時
高知市中央公民館 1 1 歌劇「椿姫」より前奏曲(ヴェルディ)
  2 セレナーデ(ドリゴ)
     指揮 岩崎尚夫
2 1 軽騎兵 序曲(スッペ)
  2 氷滑りをする人々(ワルトトイフェル)
     指揮 川田一枝
3 1 ホフマン物語より 舟歌(オッフェンバック)
  2 六月 舟歌(チャイコフスキー)
  3 風景画帖より舟歌(阿部幸明)
     指揮 丸山和雄
4 a 組曲 花園にて(平井康三郎)
  b 日本俗曲(平井康三郎)
     1 春雨
     2 深川
     指揮 古城九州男
主催 新堀小学校PTA
後援 NHK高知放送局
   高知新聞社
定期演奏会
11月29日
2時・7時
高知市中央公民館 1 交響詩「フィンランディア」(シベリウス)
2 ピアノ協奏曲第3番(ベートーヴェン)
    独奏 森木洋子
3 歌劇「トロバトーレ」抜粋(ヴェルディ)
4 舞踊組曲より「タンブリン」(ラモー)
    指揮 丸山和雄
 

当日昼夜の入場者に任意にアンケート用紙を渡して回答が得られた。
渡した数 300枚 回答者40名
 内訳 学生 24名
 一般 16名
  計 40名

男 25名  平均年齢 学生18.1歳 一般 28.2歳
女 15名  平均年齢 学生18.2歳 一般 25.1歳

 面白かった   28
 面白くなかった  3
わからない     2
空欄        7

面白かった曲
  ピアノ協奏曲   22
  トロバトーレ   22
  フィンランディア 12
  タンブリン    13

その他気付いた点
  ヴァイオリンの音量が小さい
  アンサンブルがよくない
  今後に期待する     その他

高知市池 結核療養所 慰問演奏会
12月 池療養所 交響詩「フィンランディア」(シベリウス)
ほか6曲
詳細は不明のようです。

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